【6歩目】PRの前にやるべきことがある

「NPOの課題は情報発信力と資金の不足である」

もうきっと10年以上前から語られ続けてきたであろうこのフレーズ。しかし、僕はこの言葉が語られる時の95%は、実は「嘘」か「誤解」か「思い込み」だろうと思っています―。

改めて、NPO法人アカツキ代表理事の永田賢介です。アカツキのブログ『NPOの内部コミュニケーション〜ひとりでできぬもん!』第六回目には、こんな攻めのテーマを選んでみました。

―さて、話を戻しますと、そもそもこの意見の根拠はどこにあるのでしょうか?
殆どの場合は、アンケート等を使って、または立ち話程度で「NPO団体に聞いた結果」のようです。つまり、本人たちが言ったことをそのまま鵜呑みにするのであれば、正しいのですが、経営において自分たちの組織の課題を適切に把握することは容易ではありません。

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そして、もしこの課題が正しく成り立つのであれば、「自組織のプログラムや商品やサービスは素晴らしい品質で、情報が顧客や支援者に届きさえすれば買ってもらえ、満足してもらえるに違いない」「資金さえ投下すれば、あとは事業拡大・展開できるフェーズまで組織は成長しきった」と自信を持って言えなければ、理屈が成り立たないでしょう。

しかし、実際のところほとんどの場合は「イベントの参加者が少ない」「イベントをするお金が無い」程度の理由です。
にも関わらず、様々な自治体はこの意見を聞いて予算を組み、広告代理店のセミナーを開き、補助金をばら撒き、その結果未だに同じ掛け声がなされているのであれば、それはまさに10年の間、この課題が一向に解決せず、NPOの経営状況は改善しなかったことを、皮肉にも証明してしまっているのです。

むしろ、補助金漬けで麻薬のようになってしまい、事業規模が短期間で大幅に増減することで、組織の資金繰りが悪化したり、人が簡単に雇用されては1年でクビになるなど、経営にダメージを与えていることすら少なくないようです。

 

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では、PRの前に・補助金申請の前に、NPOがやるべきこととは何でしょうか??

アカツキがこれまで50以上の様々な団体の中に入りハンズオン支援をしてきた結果、また、100以上の様々な団体を見てきた結果、わかってきたことがあります。
それは、経営状況が良いNPOは「組織のメンバーがよく話をしている、コミュニケーションをとっている」ということです。逆に、代表がカリスマ化しているトップダウン指示型の組織は、どれだけメディアで派手に取り沙汰されていても、その内実はボロボロであることが見え隠れします。

そもそも、NPO法人の設立のためには、10人以上の社員=正会員が必要になります。それは、一定の人が「その社会問題解決したいね」「その未来素敵だね」という賛同をし、かつ、様々な人が一緒に話し合って合意形成できたビジョンこそが、社会の中に必要とされ、広がる可能性を持つからです。

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クラウドファンディングをする前に、プレスリリースを打つ前に、Facebookページを作る前に、おしゃれなプレゼン大会に出る前に、補助金申請書を書く前に、、、、

「私がこう言いたい」ではなく「私たちはこう考える」を探しましょう、それこそが本当にPRすべき内容です。そのためには、まだ見ぬ他人と新たにつながることを求めるのではなく、今、隣にいてくれる人たちの声に耳を傾けましょう。一方的に説明して承認を求めるのではなく、まずは自分の口を閉じることから始めましょう。

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もし、事業内容やビジョンについて、深い関心を持ってあなたと話をしてくれる人がいないのであれば、それこそが最大の経営課題です。それは「顕在/潜在に関わらず、社会のニーズを捉えていない」ことの現れかもしれません。

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最後にもう一度書きますね。
「PRの前にNPOがすべきことは、今、隣にいてくれる人の声に耳を傾けること」
僕も、今度あなたのお話を聴かせて頂きたいと思っています。

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*本ブログの写真は、アカツキ3周年記念ダイアログのものを使用しています。