事務局長・松島のつぶやき「ここが気になる!」まとめてみました(後半)

こんにちは、事務局長の松島です。アカツキでは2013年11月18日にメールマガジンの創刊号を配信してから、これまでに臨時号をのぞき、24通を配信してきました。5号目からは編集後記として、事務局長・松島のつぶやき「ここが気になる!」のコーナーを開始し、私が気になるテーマを簡単に紹介してきました。

前回に引き続き、これまでに取り上げた残り10のテーマをご紹介!気になるキーワードが見つかった場合は、ぜひ詳しく調べてみてくださいね!

▶ 事務局長・松島のつぶやき「ここが気になる!」まとめてみました(前半)

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目 次
Vol.015 ”みんな”でつくる!成果が伝わる年次報告書のススメ
Vol.016 大きな変革を生み出す ”System Leadership” とは
Vol.017 ファンドレイジング”サイクル”と”王道パターン”を見つける
Vol.018 NPOが初の事業主体に!ソーシャル・インパクト・ボンド
Vol.019 社会に役立てるための遺贈 4人に1人が前向きに検討!?
Vol.020 ついに解禁!NPO法人が信用保証制度を利用可能となります
Vol.021 欲しい未来へ、寄付を贈ろう。寄付月間が今年から始まります
Vol.022 寄付の46%は年末の3ヶ月間に行われている!?
Vol.023 精度は低くても、価値のある評価!?Lean Dataとは
Vol.024 寄付をしたら幸せになれる?お金で幸せを買う方法

Vol.015 ”みんな”でつくる!成果が伝わる年次報告書のススメ

4月1日より、新年度が始まり、多くのNPO法人では決算や事業報告、総会準備に追われているころでしょうか?アカツキでも所轄庁に提出する事業報告書を作成しておりますが、加えて1年間の活動をまとめた年次報告書を独自に作成しております。

支援者や関係者の方に対するアカウンタビリティ(説明責任)として、団体のビジョンや取り組む社会課題とその解決策、各事業の概要、財務情報を分かりやすくグラフや図表で伝えています。また、制作においては、団体スタッフがすべて作成するのではなく、内容を決める段階から具体的な表現まで、正会員の方にご協力頂き、より”成果が伝わる”事業報告書を目指しています。

1年に1度の大切な年次報告、支援者や関係者に御礼の想いも込めて、活動計算書に簡単な解説を加えてみたり、図表で表現してみたり、支援者や受益者の声を掲載してみたり、写真を多めに使用してみたり、そういった小さな工夫から始めてみてはいかがでしょうか?

Vol.016 大きな変革を生み出す ”System Leadership” とは

2015年の冬に、The Dawn of System Leadershipという記事がStanford SOCIAL INNOVATION Review Winter 2015に掲載されました。

「システムリーダシップの夜明け」と題されたこの記事では、例えば、子どもの貧困が子どもに対する取り組みだけでは解決できないように、貧困の輪(連鎖)といった、全体的な仕組み(System)を理解し、解決の糸口となる「てこの力点」を正確につかんだ上で、多様な人とともに大きな変革を生み出していけることができるリーダーシップ像を論じています。

このリーダーシップを実現するために3つのことが必要と書かれています。
1)”あちら”の問題を”こちら”の問題としても捉え、つなぎ合わせること
2)変化が起こる余白を作り、集合知の出現を可能にすること
3)とにかく実践すること(すべからく実践は発展的)

もっと具体的な実践を考えれば、異なる分野で活動する団体を知る、もうひとり団体外の人に参加してもらう、代表があえて仕事を手放すなど、小さな変化を積み重ねていくことができるのではないでしょうか。

Stanford Social Innovation Review “The Dawn of System Leadership”(英語)

Vol.017 ファンドレイジング”サイクル”と”王道パターン”を見つける

一口にファンドレイジングと言ってもその手法は多種多様、千差万別。
そのため、効果的に寄付集めを行うためには寄付者層や強み弱みなどから自団体ならではの最適な手法 ”王道パターン” を見つける必要があります。例えば、内外部分析から特定の事業参加者からイベント2回参加した方が最も寄付率が高い場合、それを軸に最適なパターンを検証していきます。

このときに不可欠なのが”ファンドレイジング・サイクル”と呼ばれる考え方です。このサイクルは「①組織体制の確立⇒②ターゲット分析⇒③手法の選択⇒④計画策定⇒⑤実施⇒⑥御礼と報告⇒⑦評価⇒」というステップから成ります。

③手法の選択で”王道パターン”を設定したら、施策を実施するだけではなく、寄付者への御礼と報告、そして実施した施策の評価を行い、”王道パターン”が果たして最適なものであるか検証・改善していきます。こうして自団体ならではの最も効果的な施策を発見することが大切です。

Vol.018 NPOが初の事業主体に!ソーシャル・インパクト・ボンド

最近、社会的インパクトといった言葉をよく耳にするようになりました。定量的で目に見える成果(比較的短期間の)がますます求められるこの風潮は今後、多くのNPOが避けられないものでしょう。

SBI(ソーシャル・インパクト・ボンド)は、社会的インパクトを軸とした、イギリス発の官民連携の社会的投資モデルです。この仕組みでは、例えば、刑務所の受刑者への更正プログラムに、債権によって投資家から得られた資金を投資し、再犯率定価という成果に応じて、自治体が投資家に配当を支払うという、社会的課題解決を進めるものです。

今月、日本では3事例目となる、初めてNPO法人が事業主体となるSIBのパイロット事業が発表されました。尼崎市の生活保護世帯で特にひきこもり等の行政の介入が難しい若者を対象に、就労支援と長期的な自立を目指して、認定NPO法人育て上げネットがケースワーカーと連携してアウトリーチ事業を行う事業です。

こうした動きの中で、NPOにしかり、財団・企業なども自らの成果を改めて定義し、社会における位置づけを考えていく必要がありそうです。

若者就労分野では日本初!「ソーシャル・インパクト・ボンド」 パイロット事業開始|日本ファンドレイジング協会

Vol.019 社会に役立てるための遺贈 4人に1人が前向きに検討!?

8月4日、国境なき医師団日本は「遺贈に関する意識調査2015」の主な調査結果を公開しました。社会に役立てるための遺贈を前向きに検討するという人は、4人に1人に上りました。
また、相続財産を寄付した場合の財産が、相続税が非課税となる認定NPO法人に対して寄付してもよいと答えた割合はなんと41.6%!重視する点として、非営利・資金の使い道の透明性・共感できる活動内容が挙げられ、情報公開や活動の伝え方が重要であることが明らかになりました。

一方で、昨年度の同調査では遺贈に前向きである方の傾向として、
・ボランティアなどの社会貢献活動を行なっている
・充実した人生のために「社会との繋がり」を重要視する
と挙げており、生前において、いかに社会的なつながりを提供しながらボランティア等の機会を提供していくかが重要であることが分かります。

これらのポイントは決して遺贈だけではく、ファンドレイジングや日頃のNPO法人の運営にも同様に不可欠なものであるはずです。

国境なき医師団(MSF)日本「遺贈に関する意識調査2015」

Vol.020 ついに解禁!NPO法人が信用保証制度を利用可能となります

平成27年10月1日から信用保証制度がNPO法人に解禁されます!
と言っても、なかなか馴染みのないこの制度。簡単に説明しますと、金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が公的な保証人となり融資を受けやすくすることで事業の発展を支援するもの。

もともとは中小企業向けに生まれた制度ですが、事業への先行投資や委託事業のつなぎ資金など必ずしも資金に余裕がないNPO法人も10月1日からはその保証の対象となり、より融資が受けやすくなります。
9月28日には東京で信用保証制度キックオフイベントも開催され、今後、融資や事業拡大を考えているNPO法人には注目のトピックです。

10月1日から特定非営利活動法人(NPO法人)が信用保証制度を利用可能となります

Vol.021 欲しい未来へ、寄付を贈ろう。寄付月間が今年から始まります

2015年から12月の1ヶ月間を「寄付月間〜Giving December」と題して、寄付の大切さと役割について考え、寄付に関心を寄せ、行動するきっかけとなることを目指していく取り組みが始まります。

寄付月間のコンセプトは『欲しい未来へ、寄付を贈ろう。』
この機会に自団体への寄付募集の呼びかけを始めてみたり、あたな自身が賛同・共感する団体への寄付を行ってみませんか?アカツキは賛同パートナーとして、寄付月間を応援しています。

欲しい未来へ、寄付を贈ろう。寄付月間 2015

Vo.022 寄付の46%は年末の3ヶ月間に行われている!?

アメリカでは寄付の12%は、年末の3日間に発生している」という驚くべき数字がありますが、日本ではどうなのか調べてみました。

総務省の家計調査報告(家計収支編)によると、昨年の四半期ごとの総世帯の平均寄付金支出額は、1〜3月:323円 / 4〜6月:591円 / 7〜9月:689円 / 10〜12月:1,375円 でした。各期の合計金額に対して、四半期ごとの割合を出すと、なんと【年末3ヶ月間に46%の寄付】がなされていることがわかります。

一方で、他団体も多く寄付募集しているので自団体には集まらないのではという懸念も。でもご心配にはおよびません。支出頻度を見てみると、10〜12月には100世帯あたり37世帯。1年で最も頻度が多く、また支出頻度あたりの平均寄付額も大きく、年末3ヶ月間は「より多くの方がより大きい金額を寄付する」傾向にあります。

2015年から12月には寄付月間もスタートし、ますますこれらの傾向は強まりそうです。ぜひ今年12月から寄付集めをスタートしてみませんか?

寄付月間 -Giving December- 2015

Vo.023 精度は低くても、価値のある評価!?Lean Dataとは

ここ数年でSROIを始めとした、社会的インパクト評価の意義が至るところで聞かれるようになりました。一方で、方法論が先行し、いかにもSROIが万能なツールのように語られることも増えてきました。

そもそも評価とは「主体(と第三者)が納得した価値基準をもとに、対象となる事業のあるべき姿を模索するプロセス」と考えていますが、この視点が欠けてしまいがちなこともあるように思います。

Stanford Social Innovation Reviewの記事 Leveraging Lean Data では”Lean Data”という考え方が紹介されています。これは、受益者へのアンケートで得られるデータから、サービスの品質や社会的インパクトを最適化するためのフィードバックを重視して作られたものです。

投資家が投資先を選定するために開発されたSROIとは異なり、結果の厳密さを捨てるものの、評価にかかる経費と労力を減らしながら、自団体の事業の成果を向上させていくことに有効な考え方です。

このように、実施する評価が「誰と(誰と)のため」であるか考え、相手に対して、どんな数値や成果を見せて行ければよいかということを明確にし、適切な評価手法を選択する必要があるのではないでしょうか。

Stanford Social Innovation Review “Leveraging Lean Data”(英語)

Vol.024 寄付をしたら幸せになれる?お金で幸せを買う方法

2015年11月にEテレでオイコノミア「ホントは誰のため?寄付の経済学」という番組が放映されました。番組では寄付という行為によって、寄付者が何を得ているのかを行動経済学で明らかにしています。

例えば、これまでにこんな研究結果があります。

  • カナダでもウガンダであっても、自分のためにお金を使うよりも、誰かのためにお金を使う方がより幸福感をもたらす
  • 自分たちのためにお金を使うチームと、チームをより良くするために一緒にグループ活動をするためにお金を使うチームでは、後者の方が良い成果につながった(例えば、実験で渡した15ユーロのお金は78ユーロの成果になり、ドッジボールチームでは試合の勝率が高まった)

 
ハーバードの准教授のマイケル・ノートン氏はこれらのデータから人のためにお金を使うことを通して、お金で幸せは買えると言います。NPOは、寄付者の想いや求めるものに寄り添う対応や、寄付によって、生まれた価値や成果を見せていくことでより多くの幸せを届けられるはずです。
 
寄付の“もやもや”を、データから考えてみた(寄付した私にいいことあるの?編)


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