【11歩目】3つ目の点を打つと本当のチームになる

「合意形成の最小単位は3人から」だと僕は思っています。
もちろん、2人でも議論や対話を通して、組織として一つの見解を出すことはできる。けれど、その時の“解”は、結局その2人のうちのどちらかの意向に寄ったものにならざるを得ないと思うからです。

改めてこんにちは、NPO法人アカツキ代表理事の永田賢介です。
ブログ『NPOの内部コミュニケーション〜ひとりでできぬもん!』、今回は少規模のチームで仕事を進めていくことが多い、NPOにとって、必須だと思っている視点で書きたいと思います。


先ほど、2人では合意形成ができない ということを書いた背景は、アカツキ創業時の僕の体験に基づいています。

当時、松島と僕の二人きりだった頃には、事業の方針や事務体制について意見の相違があった際に、それをぶつけ合ってもなかなか落としどころが見つからず、時に感情的なクールダウンに時間と努力を要することが多々有りました。

なぜなら、明確な答えがあるわけではない非営利の経営において、2者の見解は基本的に左右直線の上を行き来するだけだからです。それは一次元的と言っても良いでしょう。

3つ目の点A

そのため、「A」という意見と、「B」という意見がある、それをぶつけ合って新しい意見を作ったとしても、それは結果的には実は「A’」(BよりはAに近い見解)か「B’」(AよりはBに近い見解)となります。
一つの結論を出すことにより、結果として「2人のうちどちらが正しかったか」ということが何となく透けて見えてしまい、気持ち的にもやもやが残ることも少なくありません。(ましてや、同世代のプライド高い男性同士ならなおのこと!!汗)


ただもしそこに、「A」という意見と「B」という意見に加えて、「C」という意見が少しでもあれば、3者の見解は上下左右二次元的な拡がりを持つことができます。イメージとして、三角形をつくってもらうとわかりやすいのではないでしょうか。

3つ目の点B

「A」と「B」と「C」の間には、見たとおり、かなり広い範囲の落としどころが出現します。しかも、結果的にどのあたりに落ちたのかがわかりにくいため、特定の誰かのおかげや誰かのせいにもなりにくい。チームとして権限や責任を担保することが、格段にしやすくなります。


なので、僕達の場合は、3人目の職員(黒田)が加入前には、何とかその代わりになれる人にいてもらう工夫を常にしていました。例えば、それはインターンの大学生、例えば、それは理事メンバー。意見やアイデアの質ではなく、そこにもう1人いてとにかく何でもいいから発言する(3つ目の点を打つ)ということ自体に、大きな価値があるのです。

自分(I)と相手(You)のどちらでもない、新しい解決策が『私たち(We)』という主語から拓けてくるということ。それが合意形成の意義、効果、醍醐味ではないでしょうか。

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2016年度から永田・佐々木の二人体制になってしまったアカツキ事務局ですが、4月からはアカツキが既に2年近くPanasonicの組織基盤整備で伴走しているNPO法人ソルト・パヤタスの井上さんが、定期的にアカツキのオフィスに出勤しコワーキングすることになりました。互いの事業や組織体制に良い影響を及ぼし合える連携体制を作っていく予定です。

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アカツキの伴走型コンサルティングの仕事も、ある意味そういう「誰かの3人目になる」価値観を元にしているのではないかと考えています。
信頼できる仲間を見つけることが決して容易ではない小規模のNPOは、自組織の一周外側に3人目を探すことも、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

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photo by Yuji Sasaki
文責:永田賢介