アカツキ・雪松直子のブログ|わたしコトバで『協働』

みなさんこんにちは。理事の雪松です。
私の担当するブログでは、アカツキのセミナーや講座の内容から一部抜粋し、私の言葉にしてお伝えしていきます。

今回は「協働」について少しお話ししたいと思います。

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何か物事を始める時、私はまずイメージ像を作ることから取りかかることが多くあります。協働についてもそうです。
協働という言葉は当たり前のように使われているのに、現場は千差万別。事業の内容や相手など状況が色々とありすぎて、なかなか自分のイメージが定まりませんでした。

そこで考えたのが「たとえ」です。
協働は自分一人で進むのではなく、誰かと一緒に進んでいく。これをスポーツに例えて考えてみることにしました。
相手と手を取り合って目的に向かう。なるほど、二人三脚。二人三脚は確かに一緒に肩を組んでゴールを目指すのですが、脚をくくっているので、一人で走るよりスピードが落ちます。一人がつまずくと、相手も一緒にこけてしまいます。そう考えると、少し違うように思いました。

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自分の過去の仕事における協働の経験を思い返すと、常に双方が一緒に事業をしているわけではありませんでした。例えると、リレーのように自分たちの得意分野で担当し、相手にバトンタッチをしながら事業を推進していたのです。

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協働事業の現場は山あり谷あり、計画通りにはなかなか進みません。まるで箱根駅伝のようです。登りが得意な選手、長距離が得意な選手、それぞれの特性を見極めて、よりよい成績を残せるよう、担当する区間を決める。
協働は駅伝のイメージ というのはいかがでしょうか。

イメージができると具体的なことに考えが及んでいきます。
協働はあくまで手段です。単体で事業を行うよりよい成果が出せる事業を、よりよい成果を目指して一緒に頑張ることができる相手を探す。その相手の特性を理解し、事業計画を立てていきます。

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そうなると、相手の特徴を知ることが重要になってきます。
強みや弱みは比較的見つけやすいのですが、例えば行政とNPOとの協働の場合、ただの組織のルールの違いが現場では様々な形になり出てきます。当人たちも気づかずにトラブルになりがちなのが、例えば時間の捉え方です。

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行政は年度ごとにがっちりとした業務計画を立てています。年度末である「3月から今の時期を見て」さかのぼり、確実に終わるように余裕を持った計画を立て、進捗を確認しながら業務を進めます。
ところがNPO、特に小規模組織の場合は、むしろ着々と変化する社会や受益者のニーズの変化に合わせた、柔軟な対応力が求められています。そのため、「今の時期から3月を見て」事業を行なっていきます。それが時に「3月までに終わればいい」という考えに見えてしまうことさえあります。
この時間の捉え方の違いから、「NPOはゆるくて計画通りにしない」という行政側の不満になり、NPO側からすると「ちゃんとやっているのに、進捗管理が細かい」という行政への不満になることもあります。

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お互いの特性を知るということは、違いを理解すること。
違うことは悪いことではありません。ですので、まず違いをお互いに伝えることから始める。協働は恋愛や結婚と例えられることがありますが、気になる相手と出会った時に、自分を知ってもらうように自分の好きなこと、休日の過ごし方、苦手な食べ物など紹介しませんか?

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それと同じだと思うのです。まず、相手に知ってもらう。そしてそれぞれの違いを認めた上で、一緒にやるかどうか。どのようにするとうまくいくかを一緒に考えていく。そうやって、結婚相手を決めるのと同じように慎重に進めていくことが、良い協働に一歩近づくと私は思うのです。

*本ブログの画像は、アカツキが福岡県内各市町村の行政職員向けに実施している「NPOと行政の協働講座」のスライドから抜粋しました。