【12歩目】仲間にインセンティブは必要か

こんにちは、NPO法人アカツキ代表理事の永田賢介です。ブログ『NPOの内部コミュニケーション〜ひとりでできぬもん!』今回で12回目です。

さて、NPO法人を設立する時には、理事が3人以上、監事が1人以上必要です。
それはもちろん、ルールの上での話であり、実際に経営していくためには更に多くのメンバーが必要になることもありますし、逆に、意味なく頭数を揃えようとする事も避けなければいけません。

アカツキは創業時に6人、現在は9人の役員がいます。
よくある質問で、
「なぜそのメンバーを選び集めたのですか?」
「何と言って役員就任を依頼したのですか?」
と聞かれることが多いので、今回のブログではその質問にお答えしたいと思います。

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まずひとつ目の質問、「なぜそのメンバーを選び集めたのですか?」これはつまり、創業者である僕がどういう条件で役員(つまり共同経営者)を選んだのか、ということだと理解しています。
僕が答えるのは、「肩書や能力は考慮しない」「人柄と信頼性で選ぶ」ということです。

実は、アカツキを設立する前の任意団体やチームでは、仲間を選ぶ際に「この人がいるとこんな力を発揮できるようになる」「この人を起点にネットワークが広がる」という観点を持つことがありました。
しかし、そのようなメンバーでの活動である大きな失敗(詳細はここでは伏せますが)をしてから僕が気づいたことが有ります。それは、自分が「この人を利用したい」の視点でいると、相手も当然「この人を利用したい」という気持ちで関係性を築くことになる ということです。

もちろん、普段からそのような目で相手を見ているわけではない、普通の友人関係だとしても、活動がうまくいかずしんどい時、相手に気持ちが伝わらなくて辛い時、つい無自覚な期待が不満になってしまうことがあります。
敢えて大げさな表現をすれば、逆に「お互いに利用価値が無くなれば、一緒にいる理由も消える」とも言えるでしょう。

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共に事業を推進し、経営を行っていくということは、当然楽しいことばかりではありません。お金や社会的信頼の問題で、自分が相手に怪我をさせられる覚悟、怪我をさせてしまう覚悟もしなければならない。嫌になっても簡単に離れるわけにはいきません。

その上で、法人の役員を選ぶというのは、まるで結婚のようだなとも思います。「(経営が)健やかなる時も、病める時も。」共に過ごすためには、好き嫌いや利害を超えた信頼が必要だと、少なくとも僕は思っています。

社会的な信頼があるか、友人が多いか、ポジティブであるか、そんな事はどうでもいいことで。
その人が自分の目の前でどんな振る舞いをしたか、普段口にしている言葉と行動が一致しているか、周囲の人に思い遣りと想像力を持って接しているか。

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ここまで書けば、ふたつ目の質問「何と言って役員就任を依頼したのですか?」にも必然的に答えが出ます。永田やアカツキに関わりたくなるインセンティブを提示するのではなく、ビジョンとそこに向かう時のリスクを説明します。
NPOとはいえベンチャーですから、失敗する確立の方が高い。そこに賭けてもらえるのかを尋ね、そして、その人がどんな部分が好きで、信頼できると思うのかを伝えます。

もちろん、こちらがどう接したとしても、相手側が関わるメリットを見出してくれることもありますし、それは有難いことだと思っています。けれども、それを契約のように約束する理由にはしたくない。
その人なりに「頼まれたから」以上の関わる理由は必要ですが、それは依頼側が決めるものではなく、ひとり一人が自分で考えて見つけなければならないのではないでしょうか。

法人化から約4年が経った現在では少し状況も変わり、合宿を通じて永田以外の意見も取り入れ、役員の条件を言語化しました。これは達成できたから理事になれるというよりは、ビジョンと同じように日々、努力して維持し続けるべき「姿勢」だと思っています。

— アカツキ理事の10箇条 —

 

①アカツキのビジョンを自分のこととして理解すること
②理事会に参加すること
③アカツキのために時間をつくる覚悟があること
④最低限の社会性を有すること
⑤一般的なビジネススキルを有すること
⑥高いコスト感覚を有すること
⑦代表理事と対等に意見を述べること
⑧どんな人の話でも耳を傾け、受け止めること
⑨コミュニケーションを諦めないこと
⑩一度絶望したものの、かすかな希望を持っていること

 

皆さんは、どんな仲間と一緒に事業を推進していますか?また、していきたいと思っていますか?

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*本ブログ記事の写真は、平成26年度アカツキ通常総会の時に撮影されたものです。
photo by : Yuji Sasaki
文責:永田賢介