事務局長・松島のつぶやき「ここが気になる!」まとめてみました(前半)

こんにちは、事務局長の松島です。アカツキでは2013年11月18日にメールマガジンの創刊号を配信してから、これまでに臨時号をのぞき、24通を配信してきました。5号目からは編集後記として、事務局長・松島のつぶやき「ここが気になる!」のコーナーを開始し、私が気になるテーマを簡単に紹介してきました。

そこで、これまでに取り上げた20のテーマを一気にご紹介!今回は前半ということで、5〜14号で紹介した10テーマの記事を掲載します。改めて見直してみると統一感がまったくないですが・・気になるキーワードが見つかった場合は、ぜひ詳しく調べてみてくださいね!

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目 次
Vol.005 休眠預金は、なんと毎年800億円!
Vol.006 支援者や受益者への責任としての評価
Vol.007 米国における寄付事情とは
Vol.008 NPOのWebサイトこそアクセシビリティを
Vol.009 NPOに必要なマーケティング
Vol.010 みんなでできることを目指すCollective Impact
Vol.011 寄付依頼のポイントを消費行動から読み解く
Vol.012 良きフォローワーとはリーダーに服従する人?
Vol.013 大躍進を支える組織マネジメント術
Vol.014 CRMを使って顧客との”関係性”を深めていく

Vol.005 休眠預金は、なんと毎年800億円!

2014年3月24日、金融機関で10年以上も取引のない「休眠預金」を社会的事業に運用することを目指す超党派議連(休眠預金活用推進議連)が発足しました。引き出しも預け入れもされない”取引のない休眠口座”に眠っている、休眠預金は、なんと毎年800億円もの金額になります!

これらの休眠預金をいつでも払い戻せる体制を整いつつ、災害支援や教育などの分野に活用していこうという取り組みです。今後、どのような動きになっていくかぜひ注目していきたいですね。

休眠口座について考えるための情報サイト

Vol.006 支援者や受益者への責任としての評価

数年前から「SROI(社会的投資利益率)」というNPOなどの社会的事業による成果を数値評価を行う指標が話題となっています。これはお金や労力といった投資に対して、どれだけでの成果を生み出すことが出来たかを中長期的な視点で評価する指標です。

これまでNPOはしばしば「私たちの成果は数字じゃ測れないから」と言いがちだったのですが、NPOの社会的な役割が高まるなかで、しっかりと成果を見せていくことは支援者や受益者への責任とも言えます。

SROI以外にも社会的インパクト(成果)評価を測る指標には、GIIRSやIRISといった様々な特色をもったものもあります。SROIはあくまでのひとつのツールであり様々な視点や角度から評価を行うことが重要になってきます。

世界にはどのような社会性評価手法があるのか

Vol.007 米国における寄付事情とは

今月17日にGiving USAより「Giving USA 2014: The Annual Report on
Philanthropy for the Year 2013」が発行されました。米国の寄付白書にあたる本誌によると、2013年の寄付総額は3,351億ドルとなり、4年連続で増加し、2013年GDPの2%にあたりました。

特に裕福層による寄付増加を受け、個人寄付は2012年より4.2%増加し、寄付総額の72%を占め、成人一人あたりの寄付額は1,016ドルとなりました。一方で、経済動向と密接に関係のある法人寄付は1.9%減少しました。

日本においては、個人寄付総額(2012年)は6,931億円、法人寄付(2011年)は7,168億円となっており(寄付白書2013)法人寄付が主流となっています。米国同様、経済が低迷するなかで、より寄付市場を育てていくためには「個人寄付」がカギになりそうです。

Giving USA – 2014 Products(英語)

Vol.008 NPOのWebサイトこそアクセシビリティを

「アクセシビリティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?英語では Accessibility と書き、情報やサービス、建物の設備など、どんな人でも利用可能で受け入れやすいことを示します。なかなか馴染みがないかもしれませんが、例えば、日本人男性20人に1人は色弱(色の見分けが難しい)と言われており、色で区分したグラフや強調のための文字色を認識できません。

一方で、文章読み上げソフトなどの技術は向上しており、パソコンを使用されている方も増えていますが、自団体のWebサイトはそういった方でも不自由なく使用できるでしょうか?

グラフを色だけではなくパターンを使用して区分してみたり、ラベル(区分名)を追記するだけでも、断然見え方は改善されます。社会的な事業を行うNPOだからこそ、多くの方々に配慮した資料制作やWebデザインを積極的に取り組んでいきたいですね。

行政や自治体によるカラーユニバーサルデザイン
Webアクセシビリティは、誰がどう必要としているのか?

Vol.009 NPOに必要なマーケティング

NPOがマーケティング?と思われるかもしれませんが、NPO法人数の増加、企業の算入などの様々な外的環境の中で、受益者と支援者のニーズを満たしながら、本当にサービスを必要している方に、質の高いサービスを届けていくためには、非営利団体にとっても非常に重要な考え方です。

と言っても、なかなか一から始めるのは難しいもの。「NPOのためのマーケティング講座」では、実務者向けに、豊富な事例を含めながら、基本から実務まで解説しています。NPOでファンドレイジング、広報、事業推進に携わる方はもちろん、企業でマーケティングに関わる方にもオススメの一冊ですよ!

長浜洋二「NPOのためのマーケティング講座」

Vol.010 みんなでできることを目指すCollective Impact

『Collective Impact』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
昨今、NPOや地域、企業等の連携に関する事業が増えていますが、2011年、John KaniaとMark Kramaerは様々なセクターを超えて、複数の異なる組織が共通の目的(Common Agenda)の下に協働し、社会的な価値を創造していくことを体系化しこの概念を発表しました。

例えば、ホームレスに自立支援を行うビッグイシューという団体では、職業訓練プログラムを行うと同時に、受け入れる側の社会を変えるため、約20団体とともに連絡会議を通して活動を始めています。福岡でも同様にセクターを超えて多様な組織と連携する団体もあります。

NPOが取り組む社会的課題は複雑で多層・段階的であるからこそ、これまでの「自分ができること」を行うという視点から脱却し、「みんなでできること」を模索する視点が必要不可欠でしょう。

【ミニ白書】新しい課題解決手法「collective impact」の可能性と中間支援組織に期待される役割

Vol.011 寄付依頼のポイントを消費行動から読み解く

2013年11月に開催した、福岡 Civic Meeting「2013年の福岡市民の関心を
消費行動から読み取ろう!」では、株式会社ジーコムさんが福岡の消費行動を調査・分析してまとめた「ライフデータふくおか2013」を題材に、異なる世代に対しての寄付や広報、商品設計のポイントを学びました。

今月は「ファンドレイジング」の視点からポイントを紹介します。

◎団塊世代(62〜66歳)
【消費行動】消費傾向は高くないが、時間消費の傾向
【読み解く】ボランティアやファンドレイザーとしての役割を!

◎ポスト世代(51〜61歳)
【消費行動】ネットワーク志向、クラブサービスに関心が高い
【読み解く】寄付者コミュニティづくりや会員限定サービスの提供を!

◎ベビーブーマー世代(30〜42歳)
【消費行動】選択・納得・共感がキーワード、ファッション志向
【読み解く】革新的な事業と、右脳(共感)と左脳(納得)を刺激するストーリーとメッセージを!

この他にも各世代で特徴的な消費行動から、ファンドレイジングで使える/意識すべきポイントがたくさん読み取れます。今年は長めの年末年始、少し視点を広げて活動のヒントを探ってみるのはいかがでしょうか?

ライフデータふくおか2013 ~消費行動の世代間分析~

Vol.012 良きフォローワーとはリーダーに服従する人?

経営学習論を専門とされる東京大学・中原淳先生のブログ記事に、「フォロワーシップのイメージ」に関する記事がありました。フォロワーシップとは、リーダーシップと対比される概念で、記事中に引用されているCarsten et al(2010)においては、以下の3つに分類し、最も持たれているイメージを調査しています。
・Passive Follower(消極的で命令に従う)…39%
・Active follower(求められると意見を言う)…32%
・Proactive follower(積極的に関与する)…29%
結果として、「リーダーに服従する人」が最もフォローワーとしてイメージされるものとしています。

原文ではこれらのタイプがリーダーの性質と雰囲気と関連があるとし、リーダーは視点を広げる必要はあると提示しています。リーダーが求めるイメージと、フォローワー自身のイメージにズレがあると、誤解や対立に発展する可能性もあるでしょう。一度、団体内でズレがないか話してみるのも良いかもしれません。

NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 – 大人の学びを科学する「よきフォロワー」とは「リーダーに服従する人」か、それとも「リーダーに噛みこんでいく人」か!?

Vol.013 大躍進を支える組織マネジメント術

2月14日・15日は「ファンドレイジング・日本2015」に参加しました。60ものセッションの中で特に印象に残ったものが認定NPO法人カタリバによる「大躍進を支える組織マネジメント術」。”当たり前のこと”を”当たり前”に丁寧に粛々と進める凄さを強く感じました。

例えば「半年間かけて、解決すべき社会課題・ビジョンなどを言語化」「毎週コアメンバーで3時間の対話」「過去資料のアーカイブ化」など。また、各支援者による寄付ごとの使途と、対応するストーリーを作成し、「あなたの寄付は◯◯を通して、△△△の実現に活かされました」というように支援者に伝えている工夫もとても参考になりました。

約60名ものスタッフを有する組織ですが、アカツキのような小規模NPOにとっても、活用できるポイントが多く、魅力的なセッションでした。

NPOマネジメントの現場から:「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」SVP東京代表理事、NPOカタリバ常務理事/事務局長・岡本拓也さんインタビュー(4)

Vol.014 CRMを使って顧客との”関係性”を深めていく

皆さん、「CRM」という言葉をご存知でしょうか?
Customer Relationship Management(顧客関係管理)のことで、名前や連絡先、購買情報、関心事項など様々な顧客情報を活用し、効果的なマーケティングを実施することを支援するシステムです。単にExcelなどによる「顧客”情報”管理」ではなく、それらの情報を活用し、顧客との”関係性”を深めていくという違いがポイント

このCRMを”寄付者”(Donor)と関係構築「DRM」に活かし、NPOのファンドレイジングに活用する動きが広がっています。SalesforceやMicrosoft Dynamicsなど様々なソフトウェアがNPO向け価格で提供されており、今後より広く浸透していきそうです。

NGOこそCRMを使おう!(エイズ孤児支援NGO・PLAS スタッフブログ)


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