【2歩目】代表が100%満足しているNPOは不健全である

こんにちは、NPO法人アカツキ代表理事の永田賢介です。
アカツキのブログ『NPOの内部コミュニケーション〜ひとりでできぬもん!』今回が第二回目です。

さて、ちょっと刺激的なタイトルですが、ご覧になってどう感じましたか?「いやいや、リーダーの理想を実現していない組織で、成果を出せる訳がない…。」という声もあるかも知れません。

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多くのNPOの方々に、セミナー・研修・コンサルティングなど様々な形で関わる機会のある、アカツキの立場で感じていることは、未だ多くの人が、企業のトップダウン的なリーダー像や、「一人の人間の描いたビジョンを実現するための手段として、構成員が働く」という考えから抜け出しづらいのだろうということです。

しかし、本来NPOというしくみは、社会の構成員一人ひとりが参画して成り立つ社会の形を目指すもの。(「市民社会」なんて表現をしたりします)そのために、NPO法は3人以上の理事、10人以上の正会員(社員)を、設立要件として必要としています。

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多くの人に自分たちの団体の考えるビジョンやミッションを説明し、理解・共感・納得を得て始めて設立できるという、敢えて面倒な手続きを組み込むことで、行政が公益性を認可するのではなく、市民が必要だと考えた活動に公益性があると考え、認証されるようになります。
行政はNPO法人の活動内容そのものに介入/監督することはできませんし、同時にお墨付きを与えるわけでもありません

つまり、NPOは代表のものではなく、そこに関わる人々の問題意識の解決や理想の実現のために存在し、同時にその主体的な参画意識を引き出すことができる組織のはずなのです。
改めてこう書くと、当たり前のように思えるかもしれませんが、実際、ワンマン経営のNPOは少なくないですよね。

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人はどんなに似ていても、全く同じ価値観や考え方を持っている事は決してありません。代表が100%満足した状態で経営しているNPOは、つまり周囲の人間が誰かしら我慢している、我慢させられている、50%や30%の状態であると言っても過言ではないでしょう。

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少なくとも、経営陣である理事メンバーが対等に議論・対話して合意形成を行えている場合は、互いに妥協点を見出すことができているということであり、代表を含めた全員が多少の濃淡こそあれ、70〜90%の満足に留まっている状態のはずです。
更に正確に表現すれば、その状態を真の満足だと捉えている ということでしょう。

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その組織に関わる構成員がきちんと言いたいことを言い、聴き受け入れ、妥協し合い、そのことそのものに価値を見出すことができれば、それは本当の意味で「組織」であり、構成員の誰とも異なる、新たな一つの人格=「法人格」を獲得したということです。

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自由かつ公平で、多様で多元的な社会を目指しているはずのNPOが、実は代表の独裁の下にある、しかも誰もそれをおおっぴらに口にはすることができなかったり、寧ろその状態を望んで一人ひとりが考えることを放棄してしまっているなんて、笑えない冗談ではないでしょうか。

組織の手に入れたいもの(Have)や組織の事業(Do)が、組織の在り方(Be)と乖離してしまうのなら、その時々の成果が出ているように見えても、きっと適切な未来には近づかない。またはある未来を生み出すもう一方で、負の遺産を残し続けるのかもしれない。

「プロセスと成果のどちらを重視するのか」ではなく、「歩むプロセスそのものが真の成果になる」。それに長い時間がかかったとしても、簡単には元に戻ってしまわない社会の変化になる。はず。

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『代表が100%満足しているNPOは不健全である』僕は自分自身が代表という立場であるからこそ、このことに盲目にならないよう、常に自分をチェックできる自分であり、またチェックしてくれる人の輪の中にいたいと思っています。

そういう意味で、最近理事の一人が発言した、「アカツキにおける代表とは、特別に優れていたり偉いという意味では全く無く、ただ一つの役割だと思う。」という言葉を聞いたことは、すごく嬉しく、本当にありがたいことだと感じました。

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※本ブログの写真は、アカツキ2014年度の夏合宿のものを使用しています。

文責:永田賢介