とりいのとい(問い):権威主義とどう向き合うか
「熱意と高いスキルをもって、周囲を巻き込みながら課題に立ち向かっていく」
―それは、大学⽣だった私が思い描いていた、社会課題を解決するリーダー像でした。優れたリーダーが未来図を描き、優秀なフォロワーがそれを実現していく。かつて私は、それが社会をより良くする方法だと信じていました。
しかし、そのプロセスで別の問題が生まれていたとしたら、それは本当に「より良い社会」と言えるでしょうか?
誰にでも弱さや未熟さがあります。どれほど優秀なリーダーでも、判断を誤ったり、大切な視点を見落としたりすることもあるでしょう。それにもかかわらず、「リーダーが基準」となり、誰もNOと言えない組織では、間違った方向へ進んでしまう危険があります。また、
「NO」と声を上げた人が不利益を被り、ストレスを抱えてしまったり、退職を余儀なくされることがあったら、それは「ハラスメント」という社会問題を生んでいることになるでしょう。
リーダーを権威化し、権威に従わせる/従うことを前提とした組織には、そのようなリスクが潜んでいると考えます。
近年、アカツキにご依頼いただくコンサルティングでは、「心理的安全性」や「スタッフの相互理解」など、「組織」に関するテーマが増えています。そうした取組みに立ち会う中で強く感じるのは、成果物以上に、「プロセス(どのように取り組んだか)」が重要だということです。
例えば、「誰もが意⾒を言いやすい職場にしたい」と言いながら、新しいルールや仕組みをトップだけで決め、それをスタッフに“浸透させ”たところで、本当に意見を言いやすい組織になるでしょうか?リーダーやコンサルタントが“答え”を示せば、短期的には“成果”が出るかもしれません。しかし、一人ひとりの思いや価値観に⽿を傾け、ともに考え、合意形成しながら進めるプロセスそのものが、権威主義の“呪い“を解き、結果的により良い組織∕社会をつくるための土台になると私は考えています。
※本記事は、2025年度年次報告書(年刊アカツキ2025)より抜粋して掲載しています。


