【39歩目】NPOのビジョン「わからせ」問題
こんにちは、認定NPO法人アカツキの永田です。
2015年から続くブログ『ひとりでできぬもん!』、NPOのファンドレイジングやコミュニケーションについて、その時気になっているテーマを取り上げていきます。
『NPOの活動においては “ビジョン” が肝要である』ということはよく言われてます。これはある意味では本当だけれど、別のある意味では間違いではないかな。と、様々な団体の組織運営の現場に関わらせてもらって、またアカツキ自身の実践から感じています。
それは多くの場合、“ビジョン” は、代表やリーダーが「語り」、スタッフや支援者に「聞かせる」という、非対称の関係性を想定されているからです。多くのセミナー講師やコンサルタントによると“ビジョン” は「わからせ」のようなのです。(※1)

僕はそうは思いません。
NPOは、市民活動は、一定の、
【皆】ではない、
【私】個人でもない、
【私たち】が、対等に語り合うことが前提に成り立つ。
ビジョンは、代表も、理事も、スタッフも、実は既に抱えて生きていて、そのことを共有しながら育むことを提案します。

それぞれの “ビジョン” は、壮大であっても良いけれど、小さくささやかなものでも良い。社会課題の解決が、穏やかなお茶の時間を奪っては本末転倒だからです。ねばならぬ〜の思考は、未来に遠いでしょう。
“ビジョン” は全体で一致する必要もありません、お互いのことをある程度理解していれば、尊重もできるし、妥協もできる。その上で、キャッチコピー的な落としどころの「ことば」が見つかればそれで充分機能します。
整った綺麗な形が重要なのではなくて。そこに至ったプロセスや関係性が、チームを、組織細胞を強くしなやかにします。何より、価値観や行動様式が単一な集団ほど、生物的に脆弱なものはありません。(※2)

確かに、優れたコピーは人を動かします。強い言葉で言えば、扇動することができる、それは企業の、広告モデルの力です。
けれども、NPOや市民活動の仲間は、消費者ではなく、主体として触れ合うのですから、扇動されるのではなく、先導されるのでもなく、それを拒否して、一人ひとりの意思で歩く必要があります。それが、短期的にはのろのろとした速度に見えても。
上から降ってくる標語ポスターほど、人のモチベーションを下げる(萎える)ものはありません。それを、正直に言える組織文化かどうかが論点なのだと思っています。

(※1)なお、これがミッションになろうが、バリューだろうが、パーパスだろうが、それは単にパッケージの張り替えというか、新商品の名称程度の違いしかないと考えています。
(※2)但し、人権感覚などのについては、一定のボトムラインや、リテラシー、OSは共有しておく必要があります。これは進む方向性の問題ではなく、人が立つ場所の問題だからです。

*本記事の写真には、アカツキ理事・日帰り合宿のものを使用しています。

