災害時こそ急がば回れ、効果的な寄付のために持っておきたい10の視点

西日本豪雨災害を受けて、被災地支援の関わり方に関するさまざまな情報が発信されています。

『参加と協力の仕組みを育てる』をミッションに掲げる私たち特例認定NPO法人アカツキは、寄付者が主体と考えて作成した「災害時こそ急がば回れ、効果的な寄付のために持っておきたい10の視点」をご紹介します。
*なお、この記事は東日本大震災・熊本地震の際にアカツキが作成したものを元に、改善を加えて更新しました。


■1.ボランティア・物的支援・金銭的支援の選択肢を持つ

発災直後で、一般人の災害ボランティアを受け入れることができない段階の時や、遠方に住んでいて現地に行くことは難しいという場合でも、物資の提供や、専門家や自治体を通じた資金的支援という形でも支援に関わることができます。

■2.「義援金」と「活動支援金」の違いを知る

「義援金」は、赤十字や自治体などを通じて集められるお金で、被災後日、被災者全員に現金のまま公平に配分されるお見舞金です。「活動支援金」は、専門的な課題解決能力を持つNPO等への、支援活動の物資代金や人件費に役立てることができるお金です。(参考リンク:日本財団「支援金と義援金の違い」

■3.希望する支援の時間軸や対象者を考える

発災直後には医療支援や避難所への物資輸送、炊き出しなどが。仮設住宅への入居以降は、高齢者のメンタルケアや子どもたちへの学習支援など長期的支援が必要とされます。自分が希望する支援の時間軸と対象者を考えておくと、寄付先が選びやすくなります。

■4.寄付先候補団体の資金使途・目標額を調べる

WebサイトやFacebookに「緊急募金!」と書いて寄付を集めている団体も、何に使う予定なのか、いくら必要なのかが明記されていない場合があります。その場合も、過去の会計情報や決算書が公開されていれば、大まかな収支や資金使途を把握することはできます。

■5.寄付先候補団体の活動実態・組織体制を調べる

災害支援団体も国際的プロ機関からボランティアグループまで様々です。WebサイトやFacebook等で、団体の最新状況や活動の頻度、また職員やメンバーの数が掲載してあれば、寄付金を使って活動する時間や体力があるか、大きな判断材料となります。

■6.寄付先候補団体を紹介してもらう

団体の知名度や活動年数である程度の信頼性を測ることは可能ですが、被害の大きかった地域や、多くの人が注目しやすい活動による支援が偏るケースもあります。知人から団体やそのメンバーを紹介してもらい、「顔の見える関係性」で判断を行うことも有効です。

■7. 複数の情報(サイト)を照らし合せてみる

団体のWebサイトには判断に十分な情報が掲載されていない場合でも、インターネットで検索してみることで、過去のニュース記事や個人のブログ、評判などを知ることができます。複数の視点で見ることで、より詳細に実態を把握することができます。

■8.検討の結果、寄付「しない」選択肢も持つ

今すぐ寄付して自分の気持ちを落ち着かせたいという気持ちもあるかと思いますが、寄付先候補団体を調べていくつか比較して見た結果、充分に共感・納得できなかった場合は、「今回は寄付をしない」「暫く様子を見る」ということも、尊重される選択肢です。

■9.寄付した後も、団体の活動状況を追いかける

寄付して終わりではなく、その後団体がどのように活動し、また費用の報告があるかを見守り続けることにより、現地で活動するメンバーを勇気づけることができる・自分の周囲に支援の輪を拡げる・団体の不正経理を抑止するなどの効果があります。

■10.日常生活で困っている人たちにも、想像力を働かせてみる

突発的な自然災害では、被災地の様子を新聞やニュースを通して繰り返し見ることで「何かしたい」という気持ちが高まりますが、同時に、貧困や障がいなど日常生活で常に困難を抱えている人々とその支援団体に目を向けるという選択肢もあるかもしれません。


なお、アカツキでは法人として、優良な寄付先として特定の団体・機関などを推奨することは致しておりません(個別のご相談があった場合、その方のニーズを伺った後、いくつか候補をご紹介、または一緒にお探しする可能性はございます)。

皆さんひとり一人の想い・考え・判断によって、多様な価値観による主体的な支援活動が広がっていくことを願っております。

2018年7月12日
特例認定NPO法人アカツキ