ファンドレイジングとは

ファンドレイジングとは、一般的に「NPOが事業を行うための資金調達」と訳されます。アカツキは、それに加えて、「NPOが課題意識への共感と解決策への納得を得ていくことで、市民に参加と協力の機会を提案して、仲間を増やしていく取り組み」だと考えています。

「あなたはどんな社会を望みますか?」という問いかけと、「あなたの力が必要です」というメッセージを市民に伝え、参加と協力の機会を提案する。そして、事業による社会的な成果を通して、「あなたの力で社会を良く(受益者を幸せに)することができました」という社会参画の成功体験を届け、その変化を社会に広げていくことがファンドレイジングです。

複雑な社会課題に取り組むNPOだからこそ、理事や職員だけではなく、会員や寄付やボランティアといった多元的な関わり方を通して、多様な方と社会課題を解決していくことが必要です。

ファンドレイジングの現状と必要性

85.6%。これは東日本大震災後に、「政府に任せるだけではいけないと思うようになった」と答えた方の割合です。「他人や地域・社会のために何かしたくなった」という方も59.3%と、社会参画への意識の高まりが見られます。しかし、実際に行動に移したのは3人に1人と留まっています(*1)。

しかし、平成24年の福岡県の調査(*2)によると、福岡県内のNPO法人の約50%が寄付の募集を行っておらず、寄付収入が0円です。実際に寄付をもらった4法人に1法人が支援後に寄付者へ一切の情報提供を行っていません。

こうしたデータから見えてくることは、人々の社会参画意識が高まっている一方で、NPOがその想いを受け止め、力を活かす機会や役割を十分に提供できていない現状です。

NPOはファンドレイジングを通し、多くの人が望む社会に対して参加と協力の機会を提案し、自分たちだけではなく多くの人が関わり、生まれる価値と成果を最大限に引き出していくことが必要です。

 

*1 日本ファンドレイジング協会『寄付白書2012』(2012)より
*2 平成24年福岡県「NPO法人の資金調達に関する調査報告書」(2012)より

ファンドレイジングの魅力

ファンドレイジングの価値は、使途の自由な資金が得られることや、収入源の多様化により安定した収入基盤を獲得できることなどの収入面におけるものだけでなく、そのプロセスにおいて得られるものもあります。

 

魅力1

団体内のコミュニケーションが活性化されます

寄付を受けるためには、団体のビジョンやミッション、事業の必要性をわかりやすく伝えることが必要不可欠です。これらを改めて整理し、団体内で合意形成を行っていくことで、団体内のコミュニケーションが活性化されます。

魅力2

団体スタッフのモチベーションが向上します

支援者と顔の見える関係性を築くことで、団体スタッフが程よいプレッシャーを感じ、仕事への責任感が増したり、事業の意義と価値を再認識したりする機会になります。

魅力3

寄付者の自尊心や幸福度を高めることができます

NPOが受けた支援を適切に活かし、社会を具体的に良くしていくこと。そしてその報告を支援者にきちんと伝え、また広く社会に発信していくことで、寄付者の自尊心や幸福度を高めることができます(*3)。

*3 近藤由美『世の中を良くして自分も幸福になれる「寄付」のすすめ』(2014)より