【36歩目】ファシグラとグラレコ、取扱注意
こんにちは、認定NPO法人アカツキの永田です。
2015年から続くブログ『ひとりでできぬもん!』、NPOのファンドレイジングやコミュニケーションについて、その時気になっているテーマを取り上げていきます。
『ファシリテーショングラフィック(以下ファシグラ)』と『グラフィックレコーディング(以下グラレコ)』は、全く別の技術なので、一緒くたにするのちょっと危険ですよ…というアナウンスを昔からしています。
端的に、ファシグラは会議の進行補助のために使うもの。「その時、そこにいる人のための技術」というのがわかりやすいかもしれません。あくまでも、目的はファシリテーションであって、綺麗さやイラストは必ずしも求められません。参加者に対して、二つの意見の違いを可視化したり、複数の案のメリットデメリットを表で列挙したり、発言や合意形成のプロセスが記述されます。
参加者から「そこの」「それが」と指示語で確認されやすい、ホワイトボードや画面共有のメモが有効です。基本的に"編集しない"ことが望ましく、参加者の発言をそのままの形で残すことが大切なので、ファシリテーターは参加者の側を向いて質問や進行を行います。

一方、グラレコはイベントの記録やPRのために使うもの。「事後で、その場にいなかった人のための技術」という説明ができるかもしれません。そのため、イラストの可愛さや全体の統合性、アウトプットとしての品質が求められます。イベントの中で特に注目度が高かった発言を目立たせたり、登壇者の論点を明確にすることができます。
必然的に"加工・編集する"必要があるため、記録とは言えどテキストの議事録や文字起こしとは違う意味を持ちます。グラフィッカーは進行には関与せず、ずっとホワイトボードや模造紙を向いて(つまり参加者には背中を向けて)作業していることが多いようです。

この二つは別の技術であり、役割も全く違うのでそれぞれで良いものですが、ごっちゃにしてグラレコを会議の進行に使おうとしてしまうと、かなりのリスクがあります。その場合、アウトプットの「インスタ・FB映え」や、グラフィッカーに対する評価を求める意識が働くことで、会議の揺らぐプロセスを重視しなくなり、ハーベスト(収穫)前提に思考することになってしまいます。
また、公開前提の場ではネガティブな発言がしにくくなり、あったとしても編集加工されて見えなくなる可能性もあります。もし、あなたがグラフィッカーではなくファシリテーターであるのなら、進行役の活躍を目指すのではなく、会議はあくまでも参加者のものであることを最重視する必要があります。
(様々に異なる意見や気持ちを、短時間でわかりやすい結果にまとめ“てしまう”、魔法使いのようなファシリテーターを求める人は多いので、そのような振る舞を獲得した方が仕事やお金にはなってしまうのも、残念ながら事実なのですが…)。

ちなみに個人的には、グラレコはあまり好みではありません。テキストベースで思考しインプット/アウトプットする自分に向いているというのもあるのですが。おそらくそれより更に、自分はわかりやすいもの・見た目が整いすぎているものに対する忌避感が強いのだと思います。グラレコは、どこか「事後に制作されるイベントチラシ」のような印象を受けてしまうのです。
人の思考や発言、そのプロセスはわかりにくく、ごちゃついていて、時にネガティブな感情も含まれるものです。アカツキでは、それを、ありのままで大切にしたいと願っています。

*本記事は、2019年10月にFacebookに投稿したものを、一部修正して掲載しています。
*本記事の写真には、アカツキが月1回開催している、あまり議題や目的を決めずに、気になっていることを話し合う「事務局共有会」のものを使用しています。


