AKBNファンド[通常型]第2期・助成事業振り返りインタビュー(NPO百千鳥)

アカツキが約二年間をかけて開発し、2018年度に初めての助成を行った、立ち止まり対話するための助成金「AKBNファンド」。
その第二期目[通常型]の助成先となった「NPO百千鳥」の清水さん・伊藤さん・國武さんに、助成終了後の振り返りインタビューを実施させて頂きました。聞き手はAKBNファンド第二期当時の選考委員であった井上さん・大倉さん、そして職員の永田・雪松です。
提出された助成事業報告書と併せてこちらで公開し、助成金の原資を担ってくださっているアカツキ会員の皆様へのご報告とさせて頂きます。

助成事業報告書は こちらこちら でご覧になれます(PDF)

― 助成事業報告書の中での成果として、「問題を言語化して再認識できた」と書いてくださっていましたが、具体的にどのようなことが起きたのでしょうか?

「仕事の役割分担がはっきり見えていなかったところ、特に会計について焦点を当てることができました。それまでは、活動の楽しい部分だけをスタッフに共有していた気がするのですが、中心になっている代表や事務局が抱えていた悩みを表に出せると、地味な事務作業も積極的に請け負ってくれる人もいて、嬉しかったです。
「初回の日帰り合宿の時に、それぞれのメンバーがどういう思いで参画してくれているかを初めて聞けた気がします。普段はイベントの集まりの前後にバタバタと話をしているので、ゆっくり時間がとれることで、できる話もあると感じました。」

 

― 今回の「立ち止まり対話する」取り組みが終了して暫く経ちましたが、何かその後も続けていることはありますか?

「年に2回程度は、このような時間を確保して、目の前の仕事のこと以外も、しっかり話せるようにしていく予定です。ただ、メンバーの話を聞き、思いをしっかり引き出すにはどのような形が最適なのか、考えているところでもあります。」

 

― (井上氏より)私の所属するNGOソルト・パヤタスでは、毎年一回の合宿を継続しています。その場で、個人の将来の展望は1〜5年後まで、団体については3年後のイメージを、それぞれフォーマットを準備して事前に記入・提出してもらい、当日発表してフィードバックを得ますね。逆に、どのような振る舞いの人が、進行してくれると、話しやすいと思いますか?

「そうですね…。アカツキさんに関わってもらって良かったのは、全員に発言の機会を振ってくれることと、どんな意見にも肯定的に寄り添ってくれること。話題が脱線した時にはそれとなく、戻してくれるのがありがたいですね(笑)。ファシリテーターが表情豊かで親しみやすいことも、話しやすさの一因だと感じました。

― 当初は、立ち止まり対話する機会をつくるとしても、「メンバーの時間が合うかが心配」と仰っていたのですが、実際にやってみていかがだったでしょうか?

「そうですね、実際には、ほぼ毎回全員で集まることができて良かったです。やっぱり、団体外の人とお約束があるというのは、良い意味で責任感が増しますね。あとは、交通費を助成金として担保してもらえることも、遠隔地在住のメンバーを擁する団体にとっては助かりました。

 

― 今回の取り組みを経て、一番意識した・印象に残った言葉やキーワードを教えてください。

「新しいスタッフの募集にあたって、自分たちの求める人材像が「マニア」と気付いたことでしょうか。最初は、明るく社会性がある性格とか、事務処理能力が高いとか、一般的に望ましい人物像を考えていたのですが、アカツキさんの求める人材に「ネクラ」というのを聞いて、衝撃を受けました(笑)。」
「それから色々と内部で意見交換していった結果、日本文化を時代にあった形でつないでいくために新しい挑戦に積極的な方、かつ、地味な事務作業も苦にならない人がいいなと。加えて、高齢者やお子さん、外国人の方の参加者の方が多いので、偏見や差別意識がないということも、とても大事にしていたんだと、思い当たることができました。

 

百千鳥はアカツキと同世代のメンバーが中心で、毎回の訪問もとても楽しく過ごさせてもらいました。振り返りの時間でも、審査委員からの視点での投げかけがあり、改めて「あの時、何が起こっていたか」の検証ができ、とても有意義な時間となりました。ありがとうございました。


新型コロナウイルス感染症の影響もあり、多くのNPOにおいて、図らずして「立ち止まらざるを得ない」状況になってしまったとも言えます。
組織の中で、対話・議論をすることの意味、それがどのような結果になるか、事前に規定することは難しい、またはすべきではないものと言えます。しかし、人と人が向き合い、じっくりと話し合う時間が減ることによって、どのようなリスクがあるかは、多くの人に想像がつきやすいのではないでしょうか。


今後もAKBNファンドは、「コミュニケーション促進のために管理費のみ拠出する助成金」として、地道な発信を続けていきたいと考えています。

文責:永田賢介(認定NPO法人アカツキ理事・職員)